2013年7月21日日曜日

125.(9.9更新) インド3日目から。忘れられないマザーハウスでのボランティア


この2日間は私にとって忘れられない体験になりました。

すごく色々なことを考えさせられました。



まずは現実的に早朝から宿の移動
荷物だけ先に置かせてもらいました。

 『 Ashreen Guest House 』
  995INR
 エアコン。お湯シャワー。Wi-Fi無し。
 この近辺の安めな宿の中では部屋は清潔。おススメです!

そしてMさんと5:30に待ち合わせて一緒にマザーハウスまで歩きます。
朝は人も少なくて歩きやすい。
それでもチャイ屋さんにはたくさんの人が集まっていたり、井戸で沐浴や洗濯をしている人がいたり、お店の準備をしていたりと、すでに人々の生活は始まっていました。


マザーハウスには6時ギリギリに着きました。
シスターたちの個人的なお祈りは5時くらいから始まっているらしく、すでにたくさんのシスターがいました。
もちろんボランティアの人たちも。

カトリックのミサは今までほとんど見る機会が無かったんですが、プロテスタントのフィリピンのミサとはかなり違って(国が違うので当たり前かもしれませんが)、厳格な雰囲気でした。
決して厳格だから良いとか悪いとかという話では無く、単純にそう感じました。

聖歌の合唱や聖書の唱和など、集団で一つのことを行うことってすごいエネルギーを感じます。
それを自ら進んで行う姿に、宗教意識の低い私は、羨ましさも感じました。


ミサの最後には、司祭さんからパンや祝福が送られる時間があります。
希望する人は列に並びます。
パンはキリストの一部という意味があるらしく、カトリック教徒以外は受け取ってはいけません。
もし司祭さんからの祝福を受けたければ、胸のあたりに手をクロス(パンを受取らないサイン)していると、司祭さんが額に手を当てて祝福を授けてくれます。
私たちも初日だけ受けました(好奇心で)。

ミサが終わり、6時頃から朝食が配られます。
朝食と言っても、チャイ(インド式ミルクティー)、バナナ、食パンだけ。
量は各自の自由です。
これを食べるとこれからボランティアに行くぞと気合が入ります。
というよりも、私にとっては気合を入れなければならないタイミングです。

マザーハウスが抱える施設は、ほとんどがバスを利用して行くくらい距離が離れています。
私が配属された『プレムダン』も5INR(1INR≒1.68円。2013/7)かかります。
初日は集団を見つけられず、ちょうど紹介された台湾人と一緒にバスに乗り、2日目は初日に仲良くなった中国人や韓国人たちと日曜でバスが全然来なかったために歩きました。
線路の周りもゴミでいっぱい
スラムを抜けます
ここが『プレムダン』の入り口



ボランティア初日。

『プレムダン』は男女が別の施設で暮らしています。
ほとんどがお年寄りで、老人ホームの様でした。
ほとんどの人が身体障害や、知的障害を抱えていて、残りの人生をこの施設で過ごします。
一番最初にマザーテレサが人々の保護を始めた施設が『カーリーガート』、「死を待つ人の家」と呼ばれています。
その施設がいっぱいになり、さらに多くの人を収容できるようにと『プレムダン』は造られました。
(建物自体はインド人富豪の寄付)
『カーリーガート』は有名なだけにボランティア希望も多いようですが、この『プレムダン』は収容人数も多い上にボランティアは少なくていつも人手不足の様です。

この施設には、障害を抱えている人はもちろん、現在も怪我をしている人や病気を患っている人も多くいます。
肝炎患者や・・・・・・・・・

遅れて着いた私は、まずどこへ行って何をしていいか分からなかったので、近くにいたボランティアの人に声を掛けました。
ボランティアのための荷物を置く部屋にまずは案内され、そこにいた列を作った収容者達の身振り手振りの案内でその施設の2階へ。
待っていたのは洗濯物干しでした。

そして収容者たちが列を作っていたのは、洗濯物をバケツリレーで渡していたからでした。
ほとんど絞られずに上がってきた洗濯物は、施設で雇われていたインド人スタッフが軽く絞られ、それをボランティアが干していきます。
場所もスタッフから指示されたり、見て判断したり。
日本人ボランティアは誰もおらず、スペイン人がとても多かったです。ちょうど学生が集団で来ていたり、旅行者が来ていたりしていました。
それから韓国人の男性が1人と中国人が3人。同じアジア人として仲良くなりました。

洗濯物を干し終ると、続いて敷地内の清掃。薬品を入れた水をバケツで運び敷地内に撒き、溜まった水やゴミを排水溝に流します。

その後は各自、収容者とコミュニケーションを取れます。
ただ色々な収容者さんたちと話す人、
ボランティア同士で話している人、
リハビリの手伝いをする人、
色んなボランティアがいました。

そんな中で私はシスターから爪切りを依頼されました。

収容者さんたちと直接触れ合い、爪を切ります。
身体的にも知的にも障害を持った人がほとんど。
身体もあまり衛生的ではありません。
爪には垢がびっしりです。
垢の中には、大腸菌やら肝炎ウイルスやらが入っているかもしれません。

爪切りを見せながら、「誰か詰めの長い人はいますか?」とか言いながら、はっきり言って、内心はすっごくビビってました。
「やりたくない」「誰も声を掛けないでくれ」と心の中では思っていました。

でも、100名以上いる施設です。
思ったより沢山の人に声を掛けられました。

笑顔で対応しつつ、覚悟を決めました。

笑顔で対応しつつ、爪を切りだしました。

笑顔で対応しつつ、でも内心は色々なことを考えていました。


私は全く達観している人ではありません。
臨床心理士をしていますが、実際問題、人の心なんてほとんどわかりません。
人生の中でたくさん迷ったり後悔したりしています。

それでも時は過ぎていき、行動を求められたり、決断をしなければならなかったりすることは山ほどあります。
人生の中で教えていただいたこと、学んできたこと、自分の直感、それらに支えられながら自分らしくありたいと行動しています。
心理学もすごい役立ちます。



それにしても病気は嫌ですね。

その時は大丈夫でも、何日も経ってから影響が出るかもしれない。
特に日本の無菌状態で育った私なんて、インドの強烈な菌には太刀打ちできそうにありません。

収容者さん達の爪を切りつつ、握手をしつつ、肌を触れ合いつつ、
何かできることをしたいという気持ちと、
それ以上に強く、自分に何事も起きなければいいという気持ちを抱えつつ葛藤していました。


マザーテレサは、路上で病や飢えで死にかけた人に手を差し伸べ、抱えながら自分の施設へ運びました。

同じ状況が目の前で起こっていても、同じことを私はできません。


マザーテレサ、偉大すぎます。偉大すぎて胸が詰まります。

彼女の行動に多くの人が感化され、『神の愛の宣教者会』には何万人もの人が入会し、またボランティアも全国各地から毎年溢れるほどやってきます。
それほどの行為だったと思います。

私はたった2日間だけで、彼女が行ったことの爪の垢程度、いやそれよりももっと少ない程度しか分かっていません。
彼女がどれほど偉大なのかは正直計り知れません。

今回の旅の途中で、ここに来ることができて本当に良かったです。



今回のボランティアは、ボランティアをすること以外にも色々な経験ができました。

前述しましたが、初日に普段はあまり交流することのできない中国人や台湾人、韓国人たちと仲良くなれました。
日中関係や日韓関係について話をしたわけではないので、日本についてどう思っているかは分かりませんが、少なくとも同じ体験を共有しているアジアの仲間としての一体感はありました。
旅では国を超えて繋がることができるのがいいですね。

一緒にボランティアをしていた日本の方達とも仲良くなれました。
一人ひとり、自分なりの理由を持ってこの場所にやってきていました。
私たちのように旅の途中で寄った人や、定期的にここに来ている人、初めてでいきなり数週間も参加する人、いろいろです。
でもこの強烈な場所に来ているというだけで、多分お互いに尊敬し尊重し合っているんだと思います。
とても良い方たちに出逢うことができました。

ボランティア登録の時にお世話になったNさんとMさんとボランティア初日の夜に一緒に夕飯を食べたんですが、Nさんは各国のNGOやボランティア団体に登録し、有償で活動をしていて数々の逸話を聞かせてもらいました。
ボランティア的な活動を人生の中心に置くために、無償ではなく、それで生活ができるようにしているんです。
語学が堪能なうえにバイタリティもメチャクチャあり、自分の人生を考える上でも刺激を受けました。
ささやかな宴



もうすでにかなり長文になってしまったので、もうそろそろ終わりにしたいと思いますが、『プレムダン』の活動は書けばキリがないほど内容が凝縮していました。
ボランティアの休憩での安堵感と様々な国の人が集まる緊張感と楽しさ。
身体のリハビリテーションを手伝ったり。(操体法を織り交ぜながら手伝ったらとても喜んでくれて嬉しかったです)
食事の配膳の大変さ。100人以上いるので時間がかかります。身体が不自由な人が多いのでその配慮も。
食事中の要求も言葉が分からず上手くいかなかったり、それでも出来る限り笑顔で対応したり。


施設内はもちろん撮影禁止でしたが、強烈な体験だったため、その分記憶には刻銘に焼き付いています。その分いろいろ考えることができました。

この体験が今後の自分の人生にどう影響を与えるかは分かりませんが、あのタイの空港で出会えた彼に背中を押してもらう形で、この旅に加わった体験は忘れられないものになったことは間違いありません。

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